韓国でも日本と同じくウナギを食べる。日本のように「土用の丑」の日に食べるという習慣はないが、滋養強壮の食べ物として好まれているという点は同じだ。韓国語でウナギは「장어(チャンオ)」。しかし「チャンオ」は漢字で書くと「長魚」であるように、韓国では広い意味ではウナギもアナゴもハモも指すそうだ。そのためそれぞれを区別するために、ウナギは「민물장어(ミンムルジャンオ=淡水のチャンオ)、アナゴは「바닷장어(パダッジャンオ=海のチャンオ)」、ハモは「겟장어(ケッジャンオ=浜辺のチャンオ)」と呼ばれている。ちなみにハモは日本語の発音そのままに「하모(ハモ)」と呼ばれることも多い。
同じく滋養強壮の食べ物として好まれるとは言っても、その食べ方は日韓両国で大きく異なる。韓国でも日本食レストランなどに行けばうな重やうな丼(韓国風に若干アレンジしてある)を出す店があるが、一般的には焼いたウナギ(白焼または蒲焼)を一口大に切り、焼肉を食べるときのようサンチュやエゴマの葉などで包んでで食べることが多い。
蒲焼は2種類。日本の蒲焼に比較的近い醤油ベースのタレを使ったものと、コチュジャンベースの赤いタレ(ヤンニョム)をつけて焼いたものだ。他に白焼もあるので、장어구이(チャンオクイ=ウナギ焼き)は3種類の味が楽しめるということになる。(写真▼は白焼とヤンニョム焼き。皿の右側に添えられているのはトラジの和え物)

ウナギ一緒に食べる薬味としては、ニンニクや生しょうがの千切り、紅しょうが、도라지(トラジ=キキョウの根)の和え物、파절이(パジョリ=白髪ネギのように細く切ったネギを味付けしたもの)、味噌など。どの薬味と一緒に食べるかによっても、味のバリエーションが楽しめる。
うな丼やうな重のようにご飯と一緒に食べることに慣れている日本人としては、ウナギと一緒にご飯も欲しいところだが、韓国ではまずウナギはウナギ単独で楽しみ、最後の締めとしてご飯と汁物を食べるのが一般的だ。この店では시래기국(シレギクッ=干した大根葉のスープ)が出てくる。


またご飯と汁物と一緒に出てくるサバと大根の煮物(▲)も絶品。最初に出てくる장어탕(チャンオタン=ウナギのスープ)も香ばしく珍味だ。日本とは一味違った韓国のウナギ料理を一度お試しあれ。釜山=牧野 美加
청림(青林=チョンニム)
釜山市東区凡一洞644-10
(051) 642-5697, 645-7538
定休日:日曜日