<前編>からの続き
食堂を出て緩やかな階段を上がっていくと、登り窯や絵付け体験教室(現在休止中)の方へ行くことができる。途中、たくさんの土偶が出迎えてくれる。
登り窯(▼)。さらに階段を上りきったところに出ると、山肌一面に無数に土偶が並べられている。その様子は圧巻だ。
1997年に徐さんは癌の宣告を受けたが不治の病魔に屈することなく、むしろ新しいジャンルである土偶の創作に全ての情熱を燃やした。人生や自然に対する愛、そして闘病する意志と勇気を表現している。
徐さんは自分の心情を、耳のない土偶・がらんどうの土偶・無心の状態で歌う土偶という形で表現している。彼は2002体の土偶を制作することにより、2002年に開かれたワールドカップとアジア大会で韓国の勝利を祈願した。そして同時に、全ての人々がそれぞれの人生を力強く生きていくことをも願いながら、これらの土偶を作ったのだそうだ。
土偶はすべて顔や姿が違うが、「耳がないこと」「頭のてっぺんにぽっかり穴が開いていること」「口を大きく開けていること」が全ての土偶に共通している。「耳がない」のは空しい声を聞かないため、「頭のてっぺんにぽっかり穴が開いている」のは無心でいるため、「口を大きく開けている」のは歌を歌うため、という意味がこめられているのだそうだ。
若いころの徐他元さん。彼は胃がんとの闘病の末、2005年3月28日に59歳で他界されたそうだ。
はじめは、まるで京都の化野念仏寺を連想させるその光景に圧倒されたが、1つ1つの土偶を見ているといろいろな表情があって飽きない。それぞれに徐さんの生きることへの強い意志が感じられる。釜山=牧野 美加
土岩陶磁器公園
機張郡 機張邑 大辺里521-1
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