韓国にはスープ料理が多い。鶏のおなかにもち米や高麗人参・ナツメ・栗などを詰めたものを煮込んだ参鶏湯(サムゲタン)をはじめとし、アグタン(アンコウのスープ)、テグタン(タラのスープ)、タットリタン(鶏肉と野菜のスープ)など、「○○タン(スープ)」と名の付く料理は多い。
コムタンも韓国の代表的なスープ料理の一つ。牛の肉や内臓などを長時間煮込んで作るものだ。よく似た料理にソルロンタンがあり、コムタンと味は似ているが作り方に少し違いがある。一般的にソルロンタンは牛の骨も入れて煮込むためスープが白濁しているが、コムタンには骨は入れないためスープが澄んでいる。また、コムタンは牛の胃や小腸などの内臓を入れて煮込むため、味が濃厚だ。牛のテール(尾)を煮込んだものは、コリ(尾)コムタンと呼ばれる。
さて、西面(ソミョン)にある「パッカネ」という店は、このコムタンがおいしいことで有名。韓国人の知人によると「釜山で一番おいしい」らしい。食べ物の好みは人それぞれなので「釜山一おいしい」かどうかは別にしても、そのおいしさで大勢の韓国人に人気の店であることは事実のようだ。
 コムタンは普通のコムタン(8千ウォン)とプレミアムコムタン(1万ウォン)の2種類。ご飯とククス(日本の太目のそうめんのような麺)も一緒に出てくるので、スープに入れていただく。一口スープをいただいて「釜山一おいしい」と言われるのにも納得。ダシがきいていてコクがあり濃厚なスープなのに、後味はさっぱりしていてしつこくない。実においしい。コムタンはサムゲタンのように、好みで岩塩を入れて味を調節して食べるのだが、そのままでも充分においしい。たっぷり入っている牛肉も柔らかくて美味。また付け合せのキムチやカクトゥギ、ジョンなどの小皿のおかずも非常に味がよく、コムタンを引き立てている。釜山=牧野美加
パッカネ 釜山市釜山鎮区釜田洞168-457 (ジュディステファ前から北へ歩き最初の角を右へ。次の角を左、その次の角を右へ、次の路地の角を右へ曲がったところ) (051) 809-0013
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