韓国では「ポム トダリ」、「カウル ジョノ(銭魚)」という言葉がある。それぞれ「春のメイタガレイ」、「秋のコノシロ」だ。サムギョプサルやプルコギなど肉類もよく食べる韓国人だが、魚介類もよく食べる。数々ある魚のうち、特に旬のおいしい時期に好んで食べられるのが春のメイタガレイと秋のコノシロというわけだ。今年もそろそろメイタガレイの時期だ。ちなみに韓国には、「コノシロを焼く匂いにつられ、出て行った嫁も戻ってくる」という諺があるほどだ。
メイタガレイは釜山に数多くある刺身屋でももちろん食べられるが、魚市場に並ぶ生簀の中からこれぞと思う魚を選び、その場でさばいてもらったものを併設されている食堂や屋台で食べるのもおすすめだ。「メイタガレイを2万ウォン分」などと言えば、予算に見合った量を生簀からすくい出してくれる。
日本で刺身といえばわさび醤油だが、韓国では随分違う。真っ赤なチョジャン(コチュジャンと酢を混ぜ合わせたもの)や味噌をつけ、エゴマの葉やサンチュなどで包んでいただく。好みでニンニクも一緒に包んで。
写真右がメイタガレイで、左はアナゴ。アナゴは遠くから見るとまるでご飯粒のように見えるほど細かく刻まれている。同じくチョジャンや味噌とともにサンチュなどに包んでいただくのだが、小骨がついたまま刻まれているので小骨の食感が残る。日本人にはなじみのない食感だが、韓国人にとってはこの小骨の食感も刺身のおいしさの重要な要素の一つなのだそうだ。メイタガレイはアナゴのようにみじん切りにはされていないが、同じく小骨の食感はある。
