産卵期のミョンテ(明太=スケトウダラ)を寒い冬空に干すことで、身が凍ったりゆるんだりという過程を経て作られるのがファンテ(黄太)。身が黄色っぽくなることからそう呼ばれる。このファンテを使った料理の専門店がある。その名も「ファンテ(黄太)パダ(海)」。
ファンテといえば、ファンテを適度な大きさにちぎったものとモヤシ・大根などを一緒に煮たスープ「ファンテタン」がよく知られているが、この店では他にも「ファンテクイ(焼いたもの)」、「ファンテチョンゴル(すき焼き風)」、「ファンテサマップ(三合)」(=ファンテ・サムギョプサル・ツルニンジンの根の3種盛り)などもメニューに並ぶ。この日いただいたファンテクイ定食(7,000w)は、メインのファンテクイの他にファンテクッ(ファンテのスープ)やさまざまなおかずがつく。
このファンテクイはもともと江原道(カンウォンド)江陵(カンヌン)が発祥の料理。まず水で戻したファンテに、醤油とごま油を混ぜた油醤(ユジャン)をまんべんなく塗りつける。そしてヤンニョム(調味料)も塗りつけて一度焼く。
次に、ヤンニョムジャン(醤)(=コチュジャン・醤油・砂糖・みじん切りのネギとニンニク・ごま塩・ごま油・コショウを混ぜて作ったもの)を、あらかじめ焼いておいたファンテに塗りつけてしばらく寝かせる。その後ヤンニョムジャンをさらにもう少し塗りつけ、再び両面を焼いたら出来上がり。なかなか手間がかかるもののようだ。
まず、おかず類とファンテクッが出てくる。おかずは海草の酢の物・唐辛子の葉の漬物・モヤシの和え物・焼き豆腐・ジャコの和え物・ほうれん草の和え物・山菜ナムルなど、どれからいただこうか迷ってしまうほどたくさん出てくる。



またファンテクッはファンテの香ばしいスープに、セリの爽やかな香りがよく合っておいしい。
