韓国の食堂といえば、メニューの写真が外から目立つ場所に大きく張ってあったり、たくさんのメニューがずらりと並べて書かれてあったりと、カラフルで派手な店が多い。そんな中、カレイ料理専門店である「キジャンシクタン(機張食堂)」は、看板をよく見なければ一見食堂とは思わずに通り過ぎてしまうような、控えめな外観だ。
しかし、地味な外観とは違い、その店内は大勢の客で賑わう人気の店だ。食事時ともなるとすぐに満席になってしまう。メニューにはシジミ汁定食もあるが、メインメニューはカレイを使った料理だ。焼き物(20,000w)・煮付け(大30,000w・小20,000w)・チゲ(9,000w)という3種類の料理方法で、おいしいカレイを提供している。
日本でもカレイの焼き物や煮付けはポピュラーだが、カレイのチゲは韓国ならではだろう。グラグラと沸騰した状態でテーブルに運ばれてくるカレイのチゲ。トゥッペギ(土鍋)に入れられているのでチゲが冷めにくく、最後まで熱々をいただくことができる。

かなり厚い身がごろんごろんと3切れほど入っているだけでなく、カレイの「子」もたっぷり入っている。スープは見た目の色ほどには辛くなく、カレイからいいダシが出ている。また、カレイだけでなく、カボチャ・タマネギ・菜っ葉類も入っていてボリューム満点だ。

カレイのチゲには、ご飯とパンチャンが一緒に出てくる。

観光客向けのあか抜けた店も多い海雲台だが、いかにも地元の人に愛されているこういう店で食事をいただくのもおすすめだ。韓国の空気がじかに感じられる気がする。釜山=牧野 美加