影島に行けばハタハタもあり、サバもあり、ベイカもあり…。海洋都市・釜山が誇る影島(ヨンド)。済州島を除いて人口が一番多い島だ。148,139人(2009年12月31日現在)が暮らし、面積で言えば人口密度は最高だ。これだけ大勢の人が暮しているだけあって隠れた名店は1、2ヶ所ではない。そんな影島の異色の美味しい店に行って来た。
店の扉を開けると、厨房で働いているイ・ナムジュン社長(56才、写真)が魚をさばくために腕をふるっていた。
南海や統営などで捕れたマナガツオとハタハタをさばいている。その手さばきが尋常ではない。海鮮食堂を始めて11年目と言う。商売繁盛で昨年ついに拡張オープンして今月27日が1周年となる日だ。厨房が清潔だ。一度使ったスプーンと箸は必ず煮沸する。それを一日二回ずつ。
冷凍ものは絶対に扱わず、新鮮なものだけを使う。数年前にたった1度だけ生の太刀魚が仕入れできず、客にあらかじめ断ってから冷凍太刀魚の鍋を出したが反応がまるで違っていたとか。安い値段も自慢だ。2万ウォンのアンコウ蒸し煮なら4~5人で食べても十分だ。常連も多い。

食堂が営業を始める午前11時30分までおかずの準備で忙しいと言う。昼食は定食のみ。このごろは生イワシ汁を出す。一緒に出すおかずは14種類。午後1時30分には売り切れる。それまでに行かないと食べられない。
すべてのおかずは新鮮な韓国産の材料だけを使う。ニンニクも臼で砕いて使う。味が全然違うと言う。マナガツオにつけて食べるタレのニンニクも辛くなく、味に深みがある。中国産は辛すぎてニンニクの味を感じることができない。
この頃高騰している白菜もついている。ゆでて柔らかくなった白菜をイワシの塩辛エキスにつけて食べると甘味を含んで香ばしい。こんな料理と一緒に出される副菜のおかずが6種類。ウナギ皮の煮こごり、シャコの唐辛子天ぷらなどが出る。
旬のハタハタ煮は絶品だ。頭と内臓をとり除いているから雑味がなく淡白な味。火にかけたまま酒の肴として食べるが、煮詰めるほど深い味が染み出る。骨ごと細く斜め切りしたマナガツオの刺身を味みそにつけて口に入れるととろけるようだ。

客からよく注文を受けるベイカは生きている。南海産のベイカだ。新鮮だから足が皿にくっつくほど。内臓を取らずに丸ごと食べた。身がしまっている。ベイカは普通下処理してから出すが、客が望めばそのまま丸ごと出す。
定食(5,000ウォン昼食時のみ) ベイカ・鳥貝刺身(各20,000ウォン)、シラウオ・マナガツオ・イイダコ刺身(各15,000~20,000ウォン)、アンコウ蒸し煮・茹でアンコウ、アンコウ鍋、太刀魚煮、太刀魚焼き(各15,000~20,000ウォン)、メバル焼き(15,000~20,000ウォン)がある。午前2時まで営業。南港洞の済州銀行の向かい側通り。
051-413-5570.
文・写真=イ・ジェヒ記者 jaehee@busan.com