ウナギは昔から犬や鶏よりも優れたスタミナ源として知られている。釜山にはハモやヌタウナギ(コムジャンオ)、アナゴなどのウナギ料理が豊富。ウナギの珍味4点を紹介する。
凡一洞「ポムルソム(宝島)」…ハモのしゃぶしゃぶ

食通たちが夏一番のスタミナ料理としてに選ぶのがハモ。釜山では 「ハモ」という日本式の名前で親しまれている。それは植民地時代にハモが大量に捕られたためだ。当時ハモは全て日本に送られたという。
ハモの性質は荒っぽい。手でつかもうとすれば鋭い歯で噛み付こうと飛びかかる。またその力がい尋常でなく、数十年さばいている専門家でも手ごわいくらいだ。そのすごい力が体内にはいるとどうなる? 食にこだわる日本の人々が好むのはそのような理由からだろう。
凡一洞にある刺身店「ポムルソム(宝島)」では天ぷら、ヤンニョム(辛いタレ)焼き、刺身とともに、しゃぶしゃぶをハモのコース料理として出している。
適度に煮ると身が軟らかくなるためハモをしゃぶしゃぶにするのだが、むしろそのだし汁に魅了される。
しゃぶしゃぶのだし汁がグラグラと煮えている。淡い褐色を帯びたそれはただのだし汁というよりは骨や肉から染み出たエキスに近い。ひとさじすくって口に含むと濃厚な味わい。胃にたどり着く前に身体全体がホカホカしてくる。そのだし汁にすばやく浸けて食べるハモの身が脇役になってしまうほどだ。
釜山市東区凡一2洞830-65 051-647-0050
写真=ヤンニョム焼き(①)、天ぷら(②)、刺身(③)、しゃぶしゃぶ(④)
ジャガルチ市場「ミルソン刺身料理店」…ハモの刺身

3人で5万ウォンのひと皿を結局全部食べられず残した。夏はハモの刺身のおいしい季節だが、値段の高さに食べるのを躊躇してしまう。しかしこの店は安くて量が多い。それだけでなく、十分に漬かったややすっぱいキムチも魅力的だ。
ハモをさばき、キムチを漬けるのは全南(チョンナム)高興(コフン)出身のキム・スンオクさん。麗水(ヨス)はハモやカラシ菜で有名だが高興もそれに劣らない。
さらにキムさんはハモのさばき方やカラシ菜キムチの腕も普通でないという。普通、ハモの刺身を食べると小骨が残っていることが多いが、この店ではそのようなことがない。カラシ菜キムチも軟らかい。このほかにもヨルム(若い大根)キムチやチョンガッ(チョンガッ大根)キムチもある。ハモの刺身は3万、4万、5万ウォン。
釜山市中区南浦洞4街ジャガルチ市場のビル2階 051-246-6597
影島「イェンナルチュオッタン」…アナゴ汁

影島(ヨンド)警察署を過ぎ、大橋洞(デギョドン)交差点と大橋(デギョ)交差点の中間ぐらいで左側を見ると、路地が見える。その路地を入るとこの店がある。ドジョウ汁(チュオッタン)の店だが、それよりアナゴ汁(プンジャンオタン)の方がよく知られている。
この店のアナゴ汁はモヤシに味噌とコチュジャンを溶いて辛く煮てある。食べてみると甘みも感じる。慶尚道式のドジョウ汁のようにバンアイッ(排香草)を入れて食べる。入っているアナゴが案外太い。それは小ぶりのものを煮ると身が崩れてしまうためだ。
汁はさっぱりとしているがしっかりと味がついている。アナゴ特有の生臭さがなく、よく煮たアナゴの身は歯ごたえがある。空腹の時、ご飯と一緒に食べるのもよいが、ピリピリすることを言い訳に焼酎一杯飲むのによさそうだ。アナゴ汁は1万2,000ウォン。
釜山市影島区大橋洞1街179 051-413-9786
中央洞「テファサンコムジャンオチッ」…ヌタウナギ

ロッテ百貨店光復店の近くにある「テファサンコムジャンオチッ」では他の店のようにヤンニョム(辛いタレ)焼きや塩焼きもあるが、昔船員が食べたスタイルのものもある。それはヌタウナギ(コムジャンオ)の皮を剥かずニンニクや唐辛子などの味付けをしないで丸ごとゆっくり茹でたもの。ヘタをすると皮が剥けたり身が崩れてしまうので、技術が必要だ。
よく茹でたヌタウナギをブツ切りにし、タレをつけた後モヤシを巻いて食べる。変わった味がする。内蔵の部分が結構あるので苦手な人もいるだろう。ヤンニョム焼き、塩焼き、丸茹で、全て1人前1万2,000ウォン。
釜山市中区中央洞6街77 051-469-3647