韓国の屋台といえば、白い棒状の餅を真っ赤なタレでからめた떡볶이(トッポッキ)や、호떡(ホトック)、魚肉の練り物を長い串にさした오뎅(オデン)などが有名。屋台は街のあちこちで目にするが、特に繁華街には密集している。
南浦洞のBIFF広場に所狭しと立ち並ぶ屋台の中でも、冬になると人々がひときわ長い行列を作るメニューがある。씨호떡(シホトック)と呼ばれる 「씨(シ=種)」 入りのホトックだ。ホトックは19世紀末に韓国に渡ってきた中国の商人たちが、自国の食べ物を韓国人の口に合うよう(中に甘いものを入れて)アレンジしたのが起源と言われる。小麦粉やもち米などで作った生地で蜂蜜や黒砂糖を包み込むようにし、たっぷりの油で揚げ焼きにする。「シホトック」の作り方も、ここまでは同じ(▼)。

焼きあがったホトックは熱々なので紙コップに入れてはさむように持ち、キッチンバサミで切り込みを入れる(▼)。粗く刻んだナッツ類を、その切り込みに入れて出来上がり。1つ900ウォン。

ナッツの香ばしさと歯ごたえ、そして食べ進むと中から出てくるとろりと溶けた甘い蜜が、モチモチの生地によく合う。手軽に食べられるおいしいおやつだ。こばらが空いたときにはぴったり。ただし、中から出てくる蜜は非常に熱いのでやけどにご注意を。釜山=牧野 美加