「나는 coffee」(直訳すると「私はコーヒー」)という名のカフェでは、コーヒーをこよなく愛するご夫婦が心を込めてコーヒーを淹れてくれる。もとはソウルでカフェを営業していたというご夫婦が、ここ釜山で店を開いたのは今年の夏。
店内で豆を焙煎するのはご主人。常時数種類の豆が用意されている。挽きたての豆を使い、ハンドドリップでコーヒーを淹れるのは本格的なバリスタの教育を受けた奥様だ。ハンドドリップコーヒーは1杯5,000ウォン。カウンターの向こうの造り付けのカップボードには、素敵なデザインのカップがたくさん並んでおり、そこからカップを選んでいれてくれる。

コーヒーを淹れる前に、客の好みを聞いて豆の種類や淹れ方を変えてくれる。こういう個人経営のカフェならではのことだろう。大型コーヒーチェーン店ではそういう微調整は難しい。客の希望に応じて淹れてくれるコーヒーがおいしいことは言うまでもない。おいしさの秘訣は、仕入れる豆の種類や焙煎方法、淹れる技術などさまざまあるだろうが、一番の秘訣だと私が感じるのはお二人のコーヒーに対する情熱。
自宅用に豆を求めに行ったときのこと。ずらりと並ぶ焙煎した豆を前に、ご主人はそれぞれの豆の特徴を丁寧に説明してくれた。その様子からは、まるで「手塩にかけて育てたわが子を嫁に出す親」のように、豆をいつくしむ心が感じられた。豆を選ぶ際には、必ず容器を開けて豆の香りを確かめさせてくれる。心を込めて焙煎した豆を、客にもしっかり吟味して選んでもらいたいという姿勢が感じられる。
どの豆にするか決まり会計をしようとするとご主人が「それから、あと1つだけちょっとご説明させてください」と。家でコーヒーを淹れる際のワンポイントアドバイスまでしてくださる。私が自宅でどんなドリッパーを使っているか確認し、それならばこういうふうに淹れるとおいしく抽出することができますと、分かりやすく教えてくれる。ハンドドリップの場合、どんな形状のドリッパーを使うかによって、おいしく淹れる方法が異なってくるのだそうだ。
ご自身が丁寧に焙煎し自信を持って販売した豆だ。「豆を販売したらそれで終わり」ではなく、家でもその豆を使って最大限おいしいコーヒーを飲んでもらいたいという情熱が感じられる。店ではおいしいコーヒーの淹れ方のレッスンも随時行っている。
広安里ビーチ沿いには非常にたくさんのカフェがあるが、「나는 coffee」は静かで落ち着いた雰囲気の中、ゆっくりとコーヒーの味を味わいたいときにおすすめの店だ。

나는 coffee(ナヌン コーヒー)
釜山市水営区広安洞190-11
(051) 757-9176
営業時間:平日11~23時(12~14時は昼休み)、日曜日17~23時