韓国を代表する公演といえば、『NANTA』や『JUMP』が挙げられるだろうか。いずれもストーリーがありながら台詞らしい台詞がない「非言語公演(non-verbal performance)」である点、専用館を持っている点、言葉のバリアがないため海外でも広く公演されている点などが共通している。『NANTA』は1997年10月の初公演以来40ヶ国近い国々で、『JUMP』も2002年12月の初公演(当時のタイトルは『変わった家族』)以来21ヶ国以上の国々でそれぞれ上演され、高い評価を得ている。
中でも『JUMP』は2008年5月に釜山にも専用館ができたため、いつでも気軽に公演を楽しむことができる(専用上映館はソウル・ニューヨークにも)。釜山専用館は海雲台グランドホテル地下2階にある。
開演前の客席にいつの間にか現れる老人(役の役者)。杖を突きながらヨタヨタと歩き観客にからむ。その時点からもうステージは始まっているのだ。韓国の伝統武芸であるテコンドーやテッキョンをベースに、アクロバティックな要素やコミカルな要素を加えたマーシャルアーツ(武術)の公演。ストーリーとしては“武術家一家で繰り広げられるある日のドタバタ劇”という単純なものだが、それぞれの役者の身体的能力の高さには驚かされる。次々と繰り出されるハイキックやバック転などは迫力満点だ。登場人物は9人。1週間に1回の休演日を除いて毎日(土曜日は1日2回)公演されるため、登場人物はそれぞれ複数人の役者が適宜交替して出演している。
また公演終演後にはロビーで、出演者全員によるサイン会・写真撮影会が行われる。ステージ上ではメイクのために分からなかった役者たちの素顔を間近で見ることができる。体力的にもかなりハードな公演の直後であるにもかかわらずサービス精神旺盛で対応してくれる。
韓国語が分からなくても100%楽しめる90分間の舞台。百聞は一見に如かず。海雲台観光のついでに専用館へ足を運んで見てはいかがだろうか。底抜けに明るい舞台があなたを待っている。釜山=牧野美加
『JUMP』料金・予約など詳細は、日本語HP http://www.yegam.com/jump/jpn/参照