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[釜山の老舗] 釜山の老舗 ⑨ 「ハルメクッパ」<下> - 「釜山ㆍ慶南」 旅行ㆍ情報の窓口
 
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釜山の老舗 ⑨ 「ハルメクッパ」<下>
避難民・労働者の血となり肉となり・・・釜山の人々のソウルフード
[Write date]  2011-05-25 오전 10:28:18

2006年チェ・スンボク氏が亡くなった後、「ハルメクッパ」は次男の嫁キム・ヨンヒ氏(58)(▼)が受け継いでいる。共に姑を手伝ってきた四男の嫁と五男の嫁は独立し、西面(ソミョン)と蓮池洞(ヨンジドン)でテジクッパ屋を開いた。店名に「ハルメ(おばあさん)」という言葉を使っている飲食店が多いため、西面と蓮池洞の店ではあえて「ハルメクッパ」ではなく、「交通部テジクッパ」という店名を使っている。

56年間もの間店を支えてきたテジクッパの味とはどんなものだろう。「ハルメクッパ」の常連客は口をそろえてこう言う。この店のテジクッパの特徴は、澄んだスープの色、さっぱりして食欲をそそるスープの味、柔らかくてジューシーな豚肉の3つだと。テジクッパ屋といえば普通、「牛の脚の骨を24時間煮こんでいる」とか、「血液の成分を抜くのに努力をしている」とか、「生臭さを消すノウハウがある」など、店それぞれにおいしさの秘訣があると自慢しがちだ。だが「ハルメクッパ」は秘訣などというものは何もないと言う。姑のそばで31年間クッパを作ってきたキム・ヨンヒ氏は「そんな秘訣があれば教えてください」と言う。

秘訣などないというが、まさかそんなことはないだろうとしばらく店に通って観察してみた。しかし本当に特別なことは何もなかった。脚の骨や背骨などを煮出した一番ダシに、サムギョプサル(三枚肉)の塊を釜いっぱいに入れるだけだ。長時間煮るわけでもなく、3時間ほど煮るだけ。それだけのことなのに生臭さは全くなく、さっぱりしていて食欲を増す味になるのだ。肉は本当に柔らかくておいしい。釜から取り出したばかりの湯気が上がる肉には、かすかな甘味さえ感じられる。

あえて秘訣と言えば、上質の肉を使っていることだろうか。「ハルメクッパ」は基本的に国産豚のサムギョプサル(三枚肉)の生肉しか使わない。しかも値段も品質も焼肉用としても使えそうな等級のものだ。にもかかわらず、テジクッパ1杯の値段は15年間4千ウォンのままだ。

釜山のテジクッパは福岡の豚骨ラーメンと比較されることが多い。地理的にも近く、どちらも豚骨スープを使った料理であるという共通点もある。豚骨ラーメンのスープはおいしさを引き出すため、脚の骨や肉など豚の各部位と共に他の材料も使い、作り方もいろいろある。豚の骨を焼いたり砕いたりして使ったり、ネギ・タマネギ・ニンニク・ショウガ・人参・昆布、さらには鶏肉・豚肉の脂や干し魚などを入れたりもする。このようにさまざまな材料を調和させ、店独自のスープの味を出すことに血眼になっている。そんな豚骨ラーメンの料理人が「ハルメクッパ」のスープを見たら言葉を失うかもしれない。

「ハルメクッパ」は3ヶ所の仲買人から肉を仕入れている。そのうちの1ヶ所では、量は多くはないがとても年をとった豚だけを納品している。スープを作るとき、この年とった豚の肉の塊もいくつか入れる。キム・ヨンヒ氏によると、年をとった豚の肉からは味の成分が特によく出て、スープにボリューム感が出るのだそうだ。

「ハルメクッパ」でクッパやスユク(茹でた肉)とともに有名なのが「以北式スンデ」(▼)だ。一口で食べられないほどの大きさが印象的。刻んだ肉、豚の血、米、キャベツ、ネギ、タマネギなどの具がぎっしり詰まっている。塩や小麦粉などで腸をとても丁寧に洗ってあるので、豚の内臓特有の生臭さは全くない。またその日に使う量だけ毎朝作るので、おいしくないはずがない。一つだけ特別なのは、一般的にスンデに入っているタンミョン(ジャガイモのでんぷんで作った乾麺)の代わりに、ククス(そうめんのような麺)が入っていることだ。ククスの乾麺をそのまま入れることで、スンデの中にある水分を吸収する役割をするのだそうだ。

メニューには書かれていないが、昔の「ハルメクッパ」の味と真心を感じられる隠された一品がある。昔は、骨にはたいてい肉片がくっついていた。創業者であるチェ・スンボク氏は、スープをとった後の骨を常連客にサービスで出していた。骨にしゃぶりつくようにして食べる肉の味は格別だった。しかし今は肉から骨を取り除く作業が発達し、骨に肉片がほとんどついていない。昔の味を覚えている客は今でもそれを食べたがるが、今はもうない。ならばということで考え出されたのが、あばら骨や背骨などを茹でた「ピョ(骨)スユク」(▼)だ。味も味だが、特有の豊満感と原始性がえもいわれぬ快感を感じさせる。注文を受けた分だけ茹でるため、少なくとも5時間前に予約しなければならない。2万~3万ウォン分程度で、3~4人で食べるのに充分な量だ。

56年の伝統のテジクッパにはどんな秘訣があるのかと何日間か観察してみたが、結局その答えは「材料と真心」という月並みなものだった。もっとも豚の骨と肉をほとんど原型そのままで食べる料理なので、秘訣はそれに尽きるのだろう。

釣りが趣味だというキム・ヨングン代表は今も夜釣りに行くと、熱々のテジクッパが食べたくなると言う。釜山の人なら誰でも同じような経験があるはずだ。釜山の人にとってテジクッパは、魂の餓えを癒してくれるソウルフードだと言っても過言ではない。だから「ハルメクッパ」の釜は、今日もぐらぐらと煮えているのだ。

ハルメクッパ
釜山市東区凡一洞28-5
(051)646-6295






 

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