流通業界に「空間革命」ブームが起こっている。これまで、製品の展示・販売だけに使われていた店舗の売り場が、図書館やキッズゾーン、カフェなどと結びついた複合施設に変身している。 その代表的な売り場が、ファッションブランド「The BASIC HOUSE」の複合流通ショップ「ライブラリー釜山大1号店」(写真)。 今年3月、釜山大近くの売り場をリニューアルオープンしたこの店は、ライブラリー(図書館)というコンセプトで、広い店内のあちこちに、世界の古典文学や新刊図書などを置いた。客が座って本を読めるよう、大型テーブルやソファも配置。ビン入りドリンクやコーヒーなどを安く販売し、客が買い物だけでなく読書や休憩もできるようにした。 「The BASIC HOUSE」によると、今年4月の1カ月で、「ライブラリー釜山大1号店」の売上額は昨年同期に比べ70%以上増えた。来店客数は前年の5倍以上。 「The BASIC HOUSE」の関係者は「釜山大エリアは人文学に関心を持つ若者が多いことに目をつけ、ライブラリー1号店をオープンした。ライブラリー売り場に客が滞在する時間や、再来店する割合が、目だって増えた」と説明する。 こうした複合流通ショップの人気にのり、「The BASIC HOUSE」は年末までに、釜山やソウル、大田(テジョン)など主要都市7~8カ所以上でライブラリー売り場を出す計画だ。 家具ブランド「ハンセム」の複合流通ショップ「ハンセム・フラグショップ」も、若い消費者を中心に人気を集めている。 釜山やソウルなど全国6地域に入店したこの店舗は、小さな子ども連れの客向けに、キッズゾーンや授乳室などを設けた。実際にベッドに横になり、自分に合うマットレスや枕、布団などを選べる「睡眠ゾーン」は30~40代の客に好評だ。 外食業界も、カフェなどと連携した複合流通ショップを、次々とオープンしている。三養(サミャン)F&Bは、ビュッフェとカフェを合わせた「SEVEN SPRINGS コンボ店」を昨年、初めてオープンした。外食ブランド「ノルブ」も最近、メディアアートを導入した「アートレストラン」をコンセプトにした複合外食店をオープンした。 釜山地域のある流通業界関係者は「不況が長期化して、業者間での競争が激しくなっている。各社が、顧客をつかむことのできる差別化戦略を展開している。これまでの常識をくつがえす独特なスタイルの複合流通ショップが、これからも出てくるだろう」と話す。 |