兵庫県豊岡市から海を渡って慶尚南道金海(キメ)市に飛来したコウノトリ「ポンスニ」(写真)が、最近再び豊岡に戻った。金海の花浦川(ファポチョン)をはじめ、慶尚南道河東(ハドン)や忠清南道瑞山(ソサン)の浅水(チョンス)湾などでペアの相手を探したが、意思疎通がうまくいかず失敗した、というのが「帰国」の理由だと指摘されている。
豊岡を担当する読売新聞の松田聡記者は最近、「昨年3月、金海に飛来したポンスニが今年4月20日、島根県隠岐の島で発見されたのに続き、最近では生まれ育った豊岡で確認された」と説明する。
松田記者は「ポンスニは父鳥と母鳥が暮らす巣に入っていったが追い出され、その後の行方は分からない。また金海に飛んで行く可能性もある」と話す。
環境専門家はポンスニが日本に帰った理由について、ペアの相手を探しているか、生息地を物色しているようだと説明する。コウノトリは一般的に生後2~3年後に繁殖するとされている。生後3年目のポンスニも繁殖期に入っている。
花浦川湿地生態公園のクァク・スングク館長は「ポンスニは昨年の冬、瑞山の浅水湾一帯で野生のコウノトリと出会い、つがいになろうと試みたが失敗したようだ。理由は意思疎通がうまくいかなかったとみられる。鳥は同じ種類同士でも、生まれ育った地域が違うと意思疎通がうまくいかない」と説明する。
クァク館長も「ポンスニがまた花浦川に戻ってくる可能性はある」とする。
一方、豊岡で放鳥されたポンスニは昨年3月、海を越えて金海の花浦川湿地に飛来した。同9月20日まで花浦川一帯で生息していたポンスニは、10~11月以降、河東と花浦川を行ったり来たりしていた。また、瑞山の浅水湾一帯の農耕地で、シベリアから飛来したとみられる野生コウノトリと一緒に越冬した。